今回は米国株を長期投資する人にとって考えなければいけない為替変動について考えていきます。
2010年代の好況を受けてS&P500をはじめとする米国株投資への投資が増えています。
その結果、資産を大きく増やした方は多いと思います。
しかし、長期的に見ると様々な要因の影響を受けて結果は変わっていくはずです。
特に我々日本人は海外株式に投資するにあたっては為替の影響を大きく受けます。
①ドル調達コストの変動リスク
②選定銘柄の過去実績を誤評価するリスク
当たり前の話ではありますが多くの日本人にとって米国株を買うには円をドルに変えて購入する必要があります。
そうなる以上、銘柄の選定にあたり過去のパフォーマンスを見る時や運用中の損益管理にも為替の影響を組み入れる必要があります。
今回、20年間以上の長期資産運用に取り組んでいる僕として為替変動による影響や投資先の評価についてまとめてみました。
ドル円の変動
investing.comのデータから作成
過去36年間のドル円を振り返ると、時代によって大きく変動しているのがわかると思います。
安全資産と考えられている円はグローバルなリスクオン時などに円高に傾くのは知られています。
直近20年で見ると、1998年に144円を付けたドルは2012年には76円と半分程度まで安くなりました。
下手したら米国株資産が単純計算で2億円が1億円になりうる、見過ごすことができない大きな問題です。
長期投資家の多くはこういった為替の変動リスクを抑えるためにドルコスト平均法によって為替変動を平均化していきます。
今回、僕が目標に据えている20年間でどのようにドル調達コストが平均化されるのか計算してみました。
果たして平均化すれば完全にリスクは排除できるのでしょうか?
その日までの20年間における平均ドル円
先のグラフにその年月までの過去20年の平均値をオレンジ色で追加しました。
考え方としては、その年まで20年間毎月同額をドルに替えた人の平均ドル取得単価になります。
2012〜2013年頃から105円〜110円/ドルで安定していますが、それまでは10年かけて30円程度低下しています。
つまり、1984年から米国株に投資してきた人が2004年時に収支を計算すると為替の影響だけで20%以上資産を失ったことになります。
勿論その変動以上にキャピタルゲインが上回れば利益を出すことになりますが、重要なのはこの為替変動リスクも投資方針を考える時に常に計算に組み入れる必要があるという点だと思います。
バブル崩壊後はドルコスト平均法が有効?
しかし1984年というのはスミソニアンレート(1ドル308円の固定相場)が解かれて完全変動相場制に移行した1973年から11年しか経っておらず、変動相場制初期の高レートの影響を受けて20年間の平均ドル調達コストが高かったと考えられます。
グラフを見ると円の価値上昇が続き2012年頃からは過去20年間の平均ドル円も安定しているように見えます。
つまり、バブルの弾けた1992年以降に20年以上ドルコスト平均法で米国株投資を行ってきた人は為替のリスクはほぼ受けていないことになるのです。
まとめ
今回の自分の分析で、ドル調達に関して長期分散投資を行うことである程度は平均化できることがわかりました。
105〜110円/ドルと言うのは僕の感覚的にも物価の均衡が取れた値だと思いますので、このレンジで運用できていれば上出来だと思います。
このデータを信用するのであれば100円を切ったら積極的な買い、110円を超えたら一歩立ち止まる必要があるように感じます。
しかし、未来のことは誰にもわからないの当たり前で、ドル円は長期的に下降する可能性は大いにあると思います。