はじめに
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、日米株価は2番底を試す状況となっています。
今後の展開や事態の収束は全く読めない状況で、先行きは濃霧に包まれています。
しかし、経済指標や株価指標がどこまで下がるかは分かりませんが、特に米国経済は過去を振り返ると何度も暴落から回復して成長を続けてきました。
今回もそうなる事を祈っています。
現在でも多くの人がS&P500連動ETFなどに投資していると思います。また、底打ち前後で積増しして高いリターンを得るために備えている人もいるかもしれません。
ただ、広い分野や企業に分散されているS&P500ですが、底打ちから株価上昇局面に当たりセクターによってそのスピードは異なってくるかと思います。
今回はリーマンショック後に米国株のどのセクターの成長率が高かったのか検討してみました。
方法
対象
幅広いETFを持つバンガード社のETFのうち、米国企業のセクター別のETFを用いて比較しました。
データを用いたのは下記のセクター別のETFです。
期間
これらの多くのETFはリーマンショック後に開始されているので、全てのETFが存在する2010年10月から比較を行っています。
リーマンショックは2009年3月に底打ちしたと言われておりますので少しギャップが出てしまいますがそこまで問題はないかと思いますのでこの月からデータ取りを行なっています。
結果
最上位:情報技術セクター
2010年10月を100として各セクターとVOOの推移をグラフ化しました。
約10年間でVOOは273と高いパフォーマンスを示しています。
一方で最も指数が伸びたのはVGT、情報技術セクターでした。430と10年間で4倍以上成長しており、VOOの約1.6倍の結果となりました。
主要銘柄はApple、Microsoft、Visaなどです。
上位:一般消費財・サービスセクター、ヘルスケアセクター
次点は一般消費財・サービスセクター、ヘルスケアセクターです。
それぞれVOOの約1.2倍のスピードで成長しました。
やはり不況時でも一般消費財や医療は不可欠であり世界人口は増え続けている現在において低迷し続けることはないのでしょうか。
また、2017年頃に情報技術セクターに抜かれていますが、底打ち後の早期に基準価を伸ばしたのはこれらのセクターだったのは意外でした。
一般消費財セクターの主要銘柄はAmazon、Home Depot、MacDonald、Nike、ヘルスケアセクターの主要銘柄はJohnson & Johnson、UnitedHealth、Merkなどです。
下位:素材セクター、通信サービスセクター、エネルギーセクター
一方で基準価の伸びが低かったのは、素材セクター、通信サービスセクター、エネルギーセクターでした。
素材セクターの主要銘柄はLinde、Air Products、Ecolab、通信サービスセクターはFacebook、Google、AT&T、エネルギーセクターはExxon Mobile、Chevron Corporation、ConocoPhillipsなどです。
特にエネルギーセクターはVOOの30%しかありません。
しかしキャピタルゲインが少ない反面、配当利回りが3倍ほどありますので単純な比較はできません。
情報技術やヘルスケア、消費財などは成長性が高い分配当利回りが低くなっています。
成長のための投資を行うか、株主に還元するのかのトレードオフがセクターによって異なっているのが見て取れます。
投資家はVOOで平均化させるのも戦略だとは思いますが、投資期間や目的などに応じて配当利回りの良いこれらのセクターETFを選択するのも良いかもしれません。
*配当利回りは直近のものを示しています。基準価の暴落によって極端に変化しているセクターもありますので要注意です。
最後に
今回はリーマンショック暴落後の米国株のセクター別の成長性の比較を行いました。
やはり情報技術が高く感じましたが今後も同様になるとは限りません。
今回のコロナショック前後の値動きを簡単に見てみましたがヘルスケアと消費財は下落幅が少ないという特徴もありました。
もちろん情報技術セクターは今後のキープレーヤーだとは思いますが、成長性・安定性で言えばヘルスケアや消費財のセクターも暴落後の積増し投資に適していると感じました。
今後は各セクターの個別銘柄についても検討していければと思います。
最後までお付き合いありがとうございました。