たーの投資日記

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高成長?暴落に強い?米国ヘルスケアセクター概要とトレンド

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今回は米国株のヘルスケアセクターについてまとめました。  

医療は地味に見えますが、日進月歩で拡散が進んでおり、市場も大きくなり続けています。

命と健康を手に入れたいという願望が存在し続け、人口増加と高齢化が止まらない限りはその成長は止まりません。

この記事は個別株やETFの紹介ではなく、それら医療関連セクターの特徴やトレンドについてをメインにに簡単にではありますがまとめています。

ヘルスケアセクターのETFについて知りたいという方はぜひ下の記事をご参考いただければと思います。

 

 

tonryman.hatenablog.com

 

ヘルスケアセクターの主な特徴は下記のような点だと思います。

ITやエネルギーなどとは異なった動きをする面白さもあると思いますのでぜひポートフォリオに検討してみてはいかがでしょうか。

 この記事で言いたいことを簡単にまとめると下記の通りです。

  

 

 

1000兆円市場!!ヘルスケアセクターとは

ヘルスケアとは?

そもそもヘルスケアとはなんなのでしょうか?

ヘルスケアとは「健康の維持や増進のための行為や健康管理のこと」を言います。

次項で細かくは見ますが、ヘルスケアを扱う企業としては医薬品メーカーやヘルスケア機器、医療物流会社、医療設備、販売代理店などが挙げられます。

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具体的には上記VanguardヘルスケアETFの組み入れ銘柄のようにヘルスケアセクターは医薬品、ヘルスケア機器、バイオテクノロジー企業で多くで占められています。

投資家なら誰もが知っていて実際に投資している人が多いJNJが最も資産が多くなっています。その他にもMerkやPfizer、Abbott、Medtronicなどグローバルなメーカーやバイオ医薬品メーカー、検査や分析機器メーカーなどが名を連ねています。

このたった10銘柄でこのETFの資産の44%が占められています。 

 

市場規模(100円=1USD計算)

1000兆円規模!!

 

世界のヘルスケア市場は、2018年に845兆円の価値がありました。

既に大きな規模ですが、世界・米国人口の増加や先進国の高齢化などを受けて2022年までに1,000兆円を超える可能性があると言われています。

2020年のITセクターの世界市場が520兆円、自動車が400兆円市場と言われています。

ITや自動車の倍あるというように考えるとヘルスケアセクターには非常に大きな市場規模があることがわかるかと思います。

 

ヘルスケアセクターのサブグループである医薬品の世界市場は右肩上がりに上がっており、2018年は120兆円程度の規模でした。これはドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品の売り上げも含んでいます。

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処方薬の売上げは2019年から+6.9%/年のスピードで成長することが想定されています。世界人口は2050年までに97億人、米国人口も2050年までに6千万人程度増加することが推定されており、米国も含め世界人口の増加や特に先進国での高齢化が医薬品市場の拡大と比例していると言えます。

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下のグラフにあるように医薬品と同様
ヘルスケア機器の世界市場も拡大しており、2018年は42兆円程度でした。

今後も順調に増加し、2025年には60兆円を超えることが想定されています。

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 このようにヘルスケアセクターは人口増加や高齢化などにより市場規模は順調に増え続け、それに合わせて医薬品メーカーやヘルスケア機器メーカーの売り上げも順調に推移しています。

コストダウン圧力はもちろんありますが、今の人口増加や研究開発の傾向が続くのであれば今後も優良な投資先セクターとして考えることができると思います。

 

ヘルスケアセクターのサブセクター

続いてヘルスケアセクターを細かく見ていきましょう。

S&P500のヘルスケアセクターには60の企業があります。

米国のヘルスケア産業は78万社によって構成されていますので、これらの銘柄は厳選されたごく一部の優秀な企業であることが分かります。

VanguardのヘルスケアETFであるVHTでは下記の10のサブグループに分かれています。

 

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上記のように3グループで約7割を占める
医薬品(Pharmaceuticals)、ヘルスケア機器(Health Care Equipment)、バイオテクノロジー(Biotechnology)がヘルスケアセクターにおける主要なサブグループです。

これらの企業は医療における新しい付加価値を生み出し続けている、医療や社会に必要不可欠な存在です。

 

医薬品メーカー

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米国の代表的な製薬会社には

Johnson & Johnson(JNJ)、Pfize(PFE)、Merk(MRK)、Illi Lilly(LLY)

などがあります。

JNJは医療機器のイメージがあるかもしれませんがS&P500のサブセクター分けでは医薬品メーカーに分類されています。医薬品はJNJ傘下のJanssenというカンパニーが運営を行っています。

 

*上の企業ロゴの画像は僕が作ったのですが、作成中はJNJは医療機器メーカーとして分類していたので医療機器の方の画像に上がっております・・・

 

医薬品メーカーにおける利益の大半は医師によって処方される医療用医薬品で、ドラッグストアで買えるような一般用医薬品は売上げのごく一部です。医療用医薬品には抗がん剤抗生物質、降圧薬など多くの種類がありメーカーによって得手不得手があります。多くの領域を扱う総合医薬品メーカーもあれば、ある領域に特化したメーカーもあります。

 

近年存在感を増し続けているバイオテクノロジー企業には新型コロナウイルスの医薬品開発で有名になったGliead(ギリアド、GILD)やModerna(モデルナ、MRNA)、Amgen(アムジェン、AMGN)などがあります。

 

バイオ医薬品

バイオ医薬品とは、遺伝子操作など生物学的な手法により開発を行う医薬品のことで、抗がん剤や抗ウイルス薬などがあります。

バイオ医薬品は有効性も安全性も高い医薬品が多く何年存在感を増しています。

Gileadタミフルなどの抗ウイルス薬特にHIV治療薬、C型肝炎治療薬などの有効性・安全性の高い医薬品開発に定評があり新興メーカーとして急成長しました。

 

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上のグラフのように一般医薬品含めて医薬品におけるバイオ医薬品の割合は右肩上がりに上がっており、2024年には28%からさらに32%まで増加することが想定されています。

医療用医薬品に限ると2018年時点ですでに50%を超えています。

今後はさらにバイオ医薬品メーカーやバイオ医薬品を開発する医薬品メーカーの開発や競争が激しくなることが想定されます。

 

世界・日本のTOP医薬品メーカー

下記が世界と日本の2019年売上TOP10ファーマです。

 

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(日経バイオテック参照)

 

世界トップはPfizerというイメージを持っている方も多いと思いますが、業界再編が進み今はスイスのRocheがトップとなっています。それでも上位に6社がランクインしている米国製薬企業の存在感が依然として高いことには変わりないでしょう。

多くの疾患に関する医薬品は開発され尽くされつつあり、年々医薬品開発の難易度は増しています。そのため過去のように自社開発にこだわるのではなく競合やベンチャーを買収したりして化合物や特許を取得し拡大する傾向があります。

個別銘柄に投資するにあたっては開発項目(パイプライン)の数や内容、M&Aなどの動向に注視して選ぶ必要があります。いくら大きな企業であっても特許切れが相次ぎパイプラインが薄いと売り上げが大きく落ちてしまう危険性があります。

 

TOP医薬品メーカーの研究開発費

 

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上記が各製薬企業の研究開発費です。

世界TOPメーカーは毎年1兆円程度を研究開発費に当てています。

これらの企業は売り上げが5兆円程度ですのでその約1/5を次世代の創薬に費やしているということができます。売り上げが30兆円程度あるトヨタでも同じ1兆円程度ですのでこれら医薬品メーカーの研究開発性向の高さが分かると思います。

日本企業はこのような流れに少し取り残されている感があり、日本トップの武田薬品工業でも世界のTOP10には入れていません。日本のTOP10を合計してやっとRocheの売上げに対抗することができる規模です。日本企業の研究開発力は高いという評価もありますので日本人として存在感を示して欲しいですね。

 

ヘルスケア機器(医療機器)メーカー

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米国のヘルスケア機器メーカーにAbbott Laboratories(ABT)、Medtronic(MDT)、Boston Scientific(BSX)などがあります。

下記が世界の売り上げTOP10のヘルスケア企業です。

売上が世界最大のMedtronicでも製薬最大手のRocheの半分程度であり、ヘルスケア機器がよりニッチな領域であることが分かるかと思います。

これら上位のメーカーのラインナップは病院での手術や診療に使用される機器がほとんどです。医薬品メーカーと同様に一般的消費者が購入できる機器はあまり販売していません。単価が高く、生命や健康にクリティカルに作用する機器が多いです。

ヘルスケア機器の中でも多くの割合を占めるのは診断薬、画像診断、治療機器特に心血管系に関連する治療デバイスが大きな割合を占めます。

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世界TOP10ヘルスケア機器メーカー

個別銘柄への投資はリスクが高い?

ヘルスケアは一発当たれば急成長するわかりやすい世界です。しかし一発を当て続けるのは非常に難しく、また訴訟リスクなどもあるので個別銘柄への一極集中投資は長期的に見るとリスクが高くなります。あのJNJでも株価を大きく落とす局面が何度もあります。

そのため、先にも引用したVHTなどETFへの投資によりリスクを分散し、ヘルスケアセクター全体の成長を享受するのが多くの投資家にとって賢明かもしれません。

 

繰り返しになりますが下記の記事でヘルスケアセクターのETFについてまとめていますのでよろしければ参照ください。

2020年最新版!!米国ヘルスケアセクターETF5選 - ほぼ0.1㌧リーマンの投資生活

 

*ヘルスケアセクターは製薬会社や医療機器会社の様な開発メーカーだけではありません。医療を成り立たせるために必要な医薬品卸(Health care Distributor)や医療設備(Health Care Facilities)などにも優良企業はあります。

個人的に考える優先順位は先の3サブセクターですが、その他の企業も今後は纏めていければと思います。

 

 

S&P500の2倍!?ヘルスケアセクターのパフォーマンス

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上記グラフの青線がS&P500指数、グレーの線がS&P500のヘルスケアセクターの指標です。

過去20年間を比較してみると、特に2010年代の景気拡大期にS&P500全体に差をつけたのが分かります。S&P500ヘルスケアセクターの過去20年間の成長は197%とS&P500(91%)の2倍以上となっています。

領域を絞るとリスク分散が薄れますが、単純に過去のパフォーマンスや今後の世界+米国の人口増加、先進国の高齢化などの環境要因を見ると、ヘルスケアは全体的に魅力的なセクターだと言えるかもしれません。

 

 

生活必需品セクター・ITセクターとのパフォーマンス比較

それでは、S&P500の中でも優秀とされている生活必需品やITセクターとの比較はどうでしょうか。

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Vanguardのセクター別ETFで10年間の推移を追ってみると最もパフォーマンスが良かったのはITセクターでした。ITセクターはこの10年間AppleMicrosoftがけん引して大きく伸ばしています。

ヘルスケアセクターの成長率はITに続き2位となっています。2015年頃まではITセクターを大きく上回っていましたが、それ以降は差は縮まり2017年には逆転されています。

こういったパフォーマンスはその時代や背景によって大きく変わってくるので注意が必要だと思います。ただしどの様な時代や局面においても安定成長しやすい分野というのはあると思いますが、ヘルスケアセクターはその条件を満たすことができる分野の一つだとも思います。

GoogleFacebookは通信サービスセクター

 

ヘルスケアセクターの下落局面での強さ

全体的な成長局面でそこまで変わらないのであれば、下落局面での騰落はどうでしょうか。

生活必需品やヘルスケアセクターは景気の影響を受けづらいと言われています。

先のチャートを見てみると2000年代初頭のITバブル崩壊による下落時も2008年頃のリーマンショック時もヘルスケアセクターの下落幅はS&P500全体と比べて緩やかなのが分かります。

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上のグラフはコロナショック前後の月末時点での各セクター価格の推移です。

加えてコロナショック前後では生活必需品とヘルスケアセクターの下落幅が最も少なくなっています。これは今回の暴落において特に如実に現れているのかもしれませんが、金融恐慌が起きようが失業者が増えようが外出禁止令が出ようが、生活必需品は少なからず買われるし、医療は必要とされているということなのでしょう。

ITセクターに比べるとヘルスケアセクターは成長性は低いかもしれませんが景気に左右されない安定性のあるセクターだと考えられます。

*ちなみに今回のコロナショックで最も落ち込みが激しい景気敏感セクターとも言えるセクターはエネルギーセクターでした。

20年4月にはWTI原油価格がマイナスにもなりましたし、経済活動が停滞すると真っ先に割を食うセクターともいえるでしょう。

 

意外に低い?ヘルスケアセクターの配当利回り

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Vanguardのセクター別ETFの利回りを見ると上記になります。これは3月時点で作成していますので全体的に配当利回りは高くなっていま
すがヘルスケアセクターはVOOの半分程度で高いとは言えません。もちろん銘柄によって程度はありますが、株価が安定して成長し、研究開発に多額の投資を行うので配当利回りは低いと考えることができます。

ですので安定的に配当収入を得たい投資家にとっては魅力的な銘柄ではないかもしれません。

 

医療の高度化!逆風も?ヘルスケア領域のトレンド

  • コストダウン圧力
  • スペシャルティ化(バイオ医薬品など)
  • 早期発見
  • 低侵襲(ロボット手術など)
  • IT/AI活用

などが今後のヘルスケアセクターの大きなトピックになります。詳細は別でまとめていきますがいくつか簡単に見ていきましょう。

 

コストダウン圧力

コストダウンに関してはシビアに進んでいくでしょう。欧州や日本は公的保険制度により医療材料の価格は国が決めるため比較的低く抑えられています(それでも問題にはなっていますが・・・)。一方で世界市場の4割程度を占め国民1人当たり世界平均の2倍の医療費を消費する米国では高額な医療費が問題になっています。この米国のヘルスケア市場が政策によって縮小するようであれば同セクターの成長に大きな影を残す可能性があります。

トランプ大統領はすでに社会保障費の大幅削減を進めており、その影響がどの程度になるか注視が必要です。この点はヘルスケアセクターへの投資におけるリスクにもなりますので今後詳しくまとめていこうと思います。

 

www.bloomberg.co.jp

体に優しい?低侵襲(ロボット手術など)

ここ数年間のトレンドは手術の低侵襲化です。過去は胸や腹部などを切り開いて病変部の手術を行うのが一般的でした。しかし術式や技術が一般化し、画像診断や治療機器などのデバイスが高機能化してくることによって、患者さんになるべく悪い影響を与えない低侵襲手術が増えてきました。

その中で急拡大しているのがロボット支援手術です。

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Intuitive Surgical(ISRG)のda Vinciという手術支援ロボットが有名で、特許に守られ日本を含めた世界各エリアに普及しました。しかしda Vinciの主要な特許が切れ始めているため現在では大企業からベンチャーまで数多くの企業が手術支援ロボット開発を進めています。

その中でも大本命はAlphabet(Googleの親会社)とJohnson & Johnsonが合同出資するVerb Surgicalが開発を進めるロボットです。

 

サブグループでは製薬会社に分類されるJNJですが、花形はEthiconという手術器具を扱う事業部です。糸や針、自動吻合器やエネルギーデバイスなど外科手術で使用する機器を開発・販売しています。

 

連続増配当株で優良銘柄として知られるJNJとあのGoogleが組んだらどの様なロボットが生まれるのか。まだ正体はベールに隠されていますが、この2社が開発し、JNJは腹腔鏡手術のラインナップや技術もあるのでそれらとのシナジー効果も期待できます。

 

開発とプロモーションが成功すればEthiconの競合であるCovidien(Medtronic)との差別化につながり、手術支援ロボットはJNJの大きな成長ドライバーになる可能性を十分に秘めていると思います。

 

business.nikkei.com

 

まとめ

今回はヘルスケアセクターの概要について非常に簡単に纏めてみました。

 

一般の我々にはわかりづらく、難しい領域ですが、日々テクノロジーが進歩しており、人口増加と高齢化が進めば必然的に市場が拡大する領域です。

近年ではバイオ医薬品やロボット手術など高度でニッチな製品が求められ成長しています。

今後もそのような情報をアップロードしていきますのでよろしくお願いします。

 

ヘルスケアといえばJNJ。しかしJNJはまず間違いない銘柄だとは思いますが、なかなか割安にはなりませんし、1社だけだとリスクもあります。

ぜひ他の優良なヘルスケア銘柄を見つけていただいて、資産を増やしていただければと思います。

 

最後までありがとうございました。 

 

 

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