たーの投資日記

20年間で2億円の資産を作るために稼ぎ節約し運用します

Johnson & Johnson(JNJ)銘柄分析 -財務編-

f:id:tonryman:20200528113152p:plain

 

この記事ではJohnson & Johnson(JNJ)の財務情報を分析します。JNJの企業概要や売上について詳しくみたい方は以下の記事をご参照ください。 

tonryman.hatenablog.com

tonryman.hatenablog.com

 

 

 収益性分析

売上高・利益率推移

f:id:tonryman:20200528104752p:plain

JNJ売上高・利益率推移
ヘルスケアセクターメーカー最大の売上高

売上高は一時的な減少時期がありますが、基本的には右肩上がりに上昇しています。JNJは過去には対前年売上成長率がほぼ10%を超えている時期もありましたが、後項の通り近年は増加ペースは落ち着いています。820億ドルと言う売上規模はヘルスケアセクターのメーカーとしては最大です。

市場平均、セクター平均を大きく上回る利益率

JNJの営業利益率は安定して25%以上あります。2019年Q4のS&P500銘柄の平均利益率は10.7%、ヘルスケアセクターが9.5%でしたのでいかに高いかが分かります。S&P500セクターの中でも利益率の高い金融セクターや情報通信セクターと同程度となっています。

f:id:tonryman:20200529104707p:plain

営業利益率

上のグラフは主な競合他社との営業利益率の比較です。

事業再編にも左右されない安定した高収益性

2019年はPfizer(PFE)Merck(MRK)といった他のメガファーマと同程度になりましたが、推移を見ると他の企業よりも売上高や利益率が安定していることがわかります。この点がJNJの特徴でもあり、医療機器事業やコンシュマー事業などとのポートフォリオによって実現されていると考えられます。

Abbott Laboratolies(ABT)は2013年に新薬事業をAbbVieとして切り離して利益率が悪化しています。またMedtronic(MDT)も2015年にCovidienを買収し利益率が悪化しています。事業の買収や売却はヘルスケア企業の成長に不可欠となっていますが、ABTやMDTのように事業変革によって収益性を悪化させることもありその判断は容易ではありません。一方でJNJも多くの事業買収や売却を行っていますが、それに左右されず高い収益性を維持しています。

 

 

売上高・資産成長率

f:id:tonryman:20200528105908p:plain

この10年間は売上は安定的に伸びていますが2015年は-6.1%と大きく下落しています。資産の増加と売り上げの増加が相関しているのがわかります。

 

EPS/BPS

f:id:tonryman:20200528225046p:plain

1株あたりの純利益を示すEPSは2017年以外は高い水準で安定的に推移しています。下記が同セクターのトップ企業との比較ですが競合他社と比べても非常に高い水準で推移しています。

f:id:tonryman:20200528225844p:plain

EPS

 

 キャッシュフロー分析

各種キャッシュフロー推移

f:id:tonryman:20200528104906p:plain

キャッシュフロー($m)
優秀企業型のキャッシュフローパターン

営業キャッシュフローは安定して推移しており、投資キャッシュフローと財務キャッシュフローは大小ありますが常にマイナスにあります。下記の類型では典型的な優秀企業型であり、事業の黒字化と新規事業への投資によって安定的な経営を行えている成熟企業と言えます。

f:id:tonryman:20200528112256p:plain

キャッシュフローの類型

 

キャッシュフローマージン・フリーキャッシュフロー推移

f:id:tonryman:20200528104941p:plain

JNJフリーキャッシュフローキャッシュフローマージン推移
右肩上がりのフリーCFとCFマージン

売上高は何度か落とす年もありましたが、フリーキャッシュフローは2011年以降ほぼ右肩上がりで、キャッシュを稼ぎ出す力と投資や借り入れなどへのバランスを重視している点が伺えます。

またキャッシュフローマージンも維持ではなく年々上昇しており、2019年には30%に迫る勢いとなりました。

f:id:tonryman:20200528225746p:plain

キャッシュフローマージン

JNJのキャッシュフローマージンは突出して高いわけではありませんが、高値で安定しています。こちらも利益率と同様で新薬ファーマは乱高下する傾向があり、医療機器メーカーも買収や事業分割により変動させています。

 

安全性分析

資産・負債・純資産

f:id:tonryman:20200528105815p:plain

バランスシート推移($m)

売上高や利益率の拡大に相関して資産は右肩上がりに上がっている一方、2016年に負債と純資産(自己資本)が逆転しているのがわかります。

 

流動比率当座比率自己資本比率・負債比率

f:id:tonryman:20200528110037p:plain

流動比率当座比率ともに2017年に大幅に下落しているのがわかります。また2016年頃から自己資本比率が下がり、負債比率が上がって逆転しています。

ROE水準を死守

f:id:tonryman:20200529111508p:plain

ROE構成要素

 

 

f:id:tonryman:20200529112957p:plain

発行済株式数の推移

 

f:id:tonryman:20200529120025p:plain

研究開発費推移

 

効率性分析

ROA/ROE推移

f:id:tonryman:20200528110350p:plain

JNJ ROA/ROE推移

Bloombergが出す2019年の米国企業の予想ROEは18.9%に対してJNJは25%と大きく上回っています。

投資家にとって重要な指標であるROEを高値で維持するためには構成要素である財務レバレッジ総資産回転率営業利益率を上げる必要があります。 

JNJは売上高が上昇していますが営業利益・営業利益率は横ばい・減少傾向となっているため自己資本を縮小し財務レバレッジを上げ、総資産の拡大を抑え総資産回転率を改善させることで高いROEを維持しています。株式数の推移を見ると自社株買いも積極的に行っているのが分かります。

しかし負債比率もある程度高まっており流動比率当座比率もかなり下がっています。今後もこのような方法でROEを維持していくのは難しいと考えられ、営業利益率の回復が必要となるでしょう。そのために積極的な新製品開発を行っているとも考えられます。

f:id:tonryman:20200528225936p:plain

ROE

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

事業規模や製品を見ると他社とそこまで変わることのないJNJですが、財務指標を見ると非常に優秀で投資家目線を強く感じます。

投資家の立場からすると今後の成長に向けた研究開発がどのように実っていくのかが気になります。特に手術支援ロボットはGoogleの親会社であるAlfabetと共同開発を行っておりわくわくさせるものがあります。

かくいう僕は今は投資はしていませんが、頃合いを見て投資していきたいと思います。

 

にほんブログ村 投資ブログ 資産運用へ
にほんブログ村

 

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村